スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

ちかごろ。

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東野圭吾さんの“白夜行”を読んでいます。ドラマにも映画にもなったので、ご存知の方もおられると思います。私はドラマの再放送で初めてこの作品に触れました。原作の方もぜひ読みたくなって、少しずつ読み進めています。誰かの為にひとはこんなに強くなれるだろうか、と思います。桐原亮司の必死さが深く胸に刺さります。彼の愛したひとは幸せに生きていけるのでしょうか。たくさんのひとの命を踏み台にして、掴んだ物はお金だけ。そこにはもう“こころ”など無いのです。人間の深淵をのぞくような作品です。
私は怖がりのくせに怪談が大好きです。血の出るようなものでなく、純粋に恐い話。木原浩勝さん、中山市朗さん共著の“怪談新耳袋”は全巻持っています。木原さんは“九十九怪談”という新作を出しているのでこれも集めるつもりです。稲川淳二さんの語りなんかもいいですね。パートナーは“科学的に無い、と証明出来ないものは無い、とは言えない”などと小難しい事を言いますが、読んだり聴いたりする事で楽しければいいのです。話戻って木原さんの本ですが、面白い事にどの作品も99話しか載っていません。“百物語”をコンセプトとする彼の作品にとっては、100を語って本当に読者の元に怪異が訪れては困る、という訳です。ちょっと小粋ですよね。
学生時代私は非常に乱読で、目に付く本を片っ端から読み漁っていました。心に残る本は数え切れないほどありますが、ひとつだけ“ジョニーは戦場へ行った”という本を紹介します。主人公のジョニーはアメリカ兵です。両手足と感覚のほぼ全てを失って本国に帰ってきました。端から見ると彼は眠り続けているように見えます。ところが聴覚だけが残っているのです。意識もちゃんとあります。自分の未来を絶望的に話す周囲の会話をジョニーは切なく聴いています。自分は何の為に戦ったのだろうと悔やみに悔やんでも涙すら出ないのです。戦争とこころの問題を真正面からとらえたとても深い作品です。おすすめですよ。