スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

はつこい。

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皆さん、“初恋”っていつでしたか?私の場合(スクランプは別物です!)は中学生の時でした。中坊は“告る”とか“付き合う”とかまだメジャーで無かった頃で、お互いの気持ちを遠くで感じるだけのとても静かな恋でした。度の強い眼鏡とクラシックへの深い造詣が印象的で、ピアノが特に上手でした。周囲からは無口なひとだと思われていたので、変わり者呼ばわりされていましたが、心を開いた相手にはとても饒舌なひとでした。成績も学年で3本の指に入るような優等生で、将来は外語大か音大に入りたいと言っていました。私は肺活量が無い為音楽系の部活動は無理だと思っていましたが、友人に誘われて吹奏楽部の打楽器のパートを見学に行き、そこで出会ったのが1学年上のそのひとです。担当は主にマリンバ。木琴のでっかいやつです。8本のマレットを器用に使って、ピアノの曲を弾きこなすのを音楽準備室の隅でいつも聴いていました。
私は中2の時に大病を患い、院内学級への転校を余儀なくされました。1年間ほどの短い療養期間で済みましたが、その間にそのひとは卒業し、第1志望の進学校へ入学が決まりました。私も病気が良くなったらきっとここを出られる、そうしたらあのひとと同じ電車で通学出来るんだ、と幼い夢を持っていました。院内学級の担任の先生は音楽が担当だったので、ピアノの基本教本のバイエルやブルグミュラーを放課後特別に教えていただき、いつか私もこれくらいは弾けるようになったよ、と自慢するつもりでした。
ある時、面会人が来ているよ、と言われて行ってみたらそのひとが1人で待っていました。嬉しいとかいうよりもただただびっくりしたのを覚えています。お兄さんが白血病で亡くなった事、お父さんの仕事の事情で県外に出る必要が出てきた事、自分はもうここには居られなくなった事…。淡々と話すのを黙って聞いていました。早く治せよ、とひとこと言って、そのひとは席を立ちました。病棟の重い扉が閉まる音が聞こえて初めて涙があふれ出すのを感じました。
今思えば、うちのパートナーはピアノなんてからっきしですが、あのひとに良く似ています。初恋なんてこんなものかもしれませんね。