スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

かいが2。

昨日は”節分”でしたね。皆さん恵方巻き食べました?
今日は私の好きな画家の1人、”マルク・シャガール”について書いてみようと思います。プロフィール欄に”結婚”という絵が特に好き、と書いてありますが、今画集を見たら”誕生日”というタイトルになっていたので訂正します。
この絵、実はそっくり同じ絵が2枚あるそうです。1枚目を持っていたロシアのコレクターが、ロシア革命後の混乱から自分のコレクションを守る為に、シャガールにパリまでの移送を頼んだのですって。その間に彼は10年前に描いたこの作品の”コピー”を描き上げたらしいです。
画集によると、”描かれているのは1915年7月7日、シャガールの誕生日に婚約者ベラが部屋を訪ねてきた場面である。待ちに待った結婚式を間近に控えた彼女が持ち込んだ花束やハンカチやお菓子に包まれて、2人がふわりと宙に舞い上がったところ。”だそうです。
花束持ったベラ(ヴェラではなくて、ベラ)に、背後から伸び上がるようにシャガールがキスをする場面。私もこれほどに愛されてみたいと思ってしまうような1コマです。
結婚のシーンは”エッフェル塔の夫婦”という絵に出て来ます。2人は大きなにわとりに寄りかかり、空にはさんさんと輝く太陽、周りには2人を祝福する天使達。この絵が描かれた1939年には第2次世界大戦が始まり、ユダヤ人だったシャガールも迫害を受けますが、彼の描く世界にはそんな事みじんも感じさせない幸福が詰まっています。
その後2人はアメリカに亡命しますが、1944年9月にベラは病気で亡くなってしまいます。1952年にシャガールは再婚しますが、その後すごい勢いで宗教に傾倒していきます。1985年、彼が97歳で亡くなるまでそれは続きます。
亡くしたひとに、彼は何を届けたかったんでしょうか。私は大分昔に”育ての親”である祖母を亡くしていますが、生前彼女と1つ約束をしました。果たせぬままに彼女は亡くなってしまいましたが、後になって彼女がその”約束”をどれほど大切に思っていたか聞かされました。偶然乗ったタクシーの運転手さんに、”ああ、あんたがあのうちのばあちゃんの自慢の孫かい。”と言われたときは、思わず声を上げて泣きました。
シャガールがどんなにベラを愛していたか、わかるような気がします。わずかですが同じ時代をこんな愛のかたちが生きていたのかと思うと、感慨深くもあります。
愛とか幸福とか、口にするとちょっと恥ずかしいけれど、たまには良いかもしれません。