ふたり。

私にはパートナーの他に好きなひとがいます。どちらのどこが好きとか、どちらがどれくらい大事か、というのではなく、ふたりの全部を同じくらい大切に思っています。既婚者なのにパートナーだけを見ていない、というのはどちらに対しても不誠実だと解っています。でもどちらかを選ぶ事など出来ません。
当然の事ですが、パートナーはそのひとの事が大嫌いです。名前を呼ぶのも嫌がるほどで、話題に出る時は代名詞で話します。そこまで嫌がるのに、私がそのひとと会う機会を得た時は引き止めません。ただ、あなたが帰って来なかったら僕はこの先どうやって生きていくんだろう、とつぶやきます。この話をそのひとにしたら、パートナーさんがあなたを大切にしてくれている限り、僕は無理に割って入ろうとは思わない、僕は僕なりのやり方であなたを大切にしたいと思うんだ、と言ってくれました。
私はパートナーからのプロポーズを受ける時、ひとつ約束をしてもらいました。私を残して先に死なない事、私を絶対にひとりぼっちにしない事。もしもパートナーが約束を破ったら、そのひとの住む遠いまちへ行こうと思っています。そして、たくさん嘘をつくのです。今まで長い間一緒に生きてきたのにあんな事もこんな事も忘れてしまったの、と。私に出来る精一杯の事を。
私を大切だと言ってくれたふたりのひとの気持ちに報いるために、頑張って長生きしようと思っています。