スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

えいが。

風立ちぬ”見て来ました。零戦の設計者である堀越二郎さんと純文学作家の堀辰雄さんの生涯を足して割って色を付けたような作品…でしたね。少なくとも“実在の人物の半生を描く”という振りは相当強引です。完全に脚本を書いた宮崎駿監督の創作作品だと思いました。売り文句に偽りあり、という点において、私はこの作品にはちょっと不満が残りました。ジブリってこんなに商業主義的じゃなかったような気がするんです。泣ける話に持って行っている印象…。例えるなら以前NHKで放送していた“プロジェクトX”という番組にラブストーリーを混ぜてみました、みたいな。
ジブリが本当に泣けたのは“火垂るの墓”までだったように思います。あれには直視出来ないほどのパワーがあった。私は必ず、例外なく泣きますよ。戦争をひとつのテーマとして取り上げた作品には“紅の豚”がありますが、ポルコ・ロッソが語りを入れるシーンで天空を飛び征く無数の飛行機を見た、という回想シーンがあって、これが反戦メッセージとしてなかなか強烈でした。“風立ちぬ”の終盤にも似たような場面が出て来ますが、飛行機乗りの実体験と、設計者の夢の中での想像とは違う感触と言いますか…。私はむしろ堀越二郎さんの伝記的な素顔を見たかったですね。無我夢中で飛行機を作り続けたひとりの設計者の生き様だけでしっかり伝わるものがあったと思うんですよ。うーん、宮崎さん歳取ったんですかねえ…。
ちょっと視点がずれるんですが、私は本編のメッセージ性よりこの時代には確実に死の病だった結核の悲惨さに胸を打たれました。今だったら特効薬があってほとんど治る病気なのに…。現代における死の病も数十年後には克服出来るものであって欲しいと切に思いました。いずれにしても、若者が長生き出来ないような時代はいい時代とは言えません。