スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

えいが。

ハドソン川の奇跡観てきました。今から7年前、2009年の1月にUSエアウェイズ1549便が離陸後間もなく事故に巻き込まれてエンジン出力を失いました。機長のとっさの判断で、1549便はハドソン川に無事着陸し、乗員乗客155人の命は救われました。でも物語はここで終わりじゃなかったのです。本当にエンジンは壊れてしまっていたのか、どこかの空港に着陸出来なかったのか、そもそも川に不時着するのは無謀な行いでむしろ乗員乗客の命を危険にさらす行為だったのではないか。英雄と讃えられた機長はいきなり容疑者になりました。
私は90年代頃あたりからのクリント・イーストウッド監督作品のファンですが、彼の素晴らしいところは人物にある一面のみからスポットライトを当てるのではなく、その横顔や背中にも光を当てようとするところだと思っています。例えば「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」はひとつの戦争を米軍と日本軍それぞれの視点から眺めた作品ですが、異なる価値観、異なる人間模様の中で、やはり戦争というのはむごいものだと感じさせてくれます。近作で言えば「アメリカン・スナイパー」あたりもそうですね。今作でトム・ハンクス演じる機長は美談の主人公としての側面と、ともすれば犯罪者とも言われかねない側面の両方から揉みくちゃにされます。彼を単なるヒーローではなく痛みも苦しみも抱えたひとりの人間として描こうとする試みに私は非常に好感を持ちました。