スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

えいが。

この世界の片隅に観てきました。北関東ではいつも行く劇場でしか公開していなかったのですごくラッキーでした。前評判で絶対に観たいと思っていた作品です。18歳で広島市から呉市にお嫁に行ったすずという女性が戦争の時代の日常を懸命に生き抜いた話です。戦争の頃と言ってもあくまで日常の話ですからむごたらしい場面はほとんど出て来ません。でもあちこちに死の影がにじみます。すずは暗い世の中にくじけることなく野草を摘んでおかずを作り、当時推奨されたという「楠公飯」を炊いて家族を支えます。「楠公飯」って私も初めて聞いたのですがおいしくないみたいですね。配給で手に入れられるものもどんどん減って、家族4人の2日分がイワシの干物4匹、なんてとんでもないことになっていく中、すずは笑って生きていきます。そんな彼女の笑顔を奪うような痛ましい事件が起こります。切なくて悲しくて涙が出ました。身も心も傷付いたすずが実家に戻ることを考え始めた頃、広島の方向に大きなきのこ雲が見えます。もう帰る家もありません。そして終戦。それまでいちども感情を爆発させることのなかったすずが、初めて抑えきれない涙を流します。つらかったんだろうなあ、と思いました。日々は流れ、残された人々は立ち上がって自分たちの「昭和」を生きていきます。久し振りに劇場で泣けました。