スクランプ連盟

趣味の旅行、映画、パートナーと二人三脚のうつ病ライフについてゆるーく書いてます。

えいが。

三度目の殺人観てきました。福山雅治さんて私どうしてもトレンディ俳優のイメージが抜けなくて食わず嫌いだったんですけども、今回認識を新たにしました。背中で語れると言いますか、セリフにない部分、「間」で演技が出来るいい役者さんになりましたね。今作は先日観た映画「関ヶ原」に続いて役所広司さんが出ているので観に行ったのですが、思わぬ収穫になりました。作品についてですが、役所さん演じる犯人の三隅は2度目の殺人を犯した罪で裁判にかけられています。タイトルにある「3度目」は何だろう、と考えて、「司法による殺人」だと気付いてぞっとしました。観客である私達には最後まで示されることはなかったけれど、実は三隅の死刑は映画が始まった瞬間から決まっていたということです。私は死刑廃止論者ではありません。むしろ、命をもってしか償うことの出来ない罪もあると思っています。でも、ひとがひとを裁くシステムには限界があるとも思っています。作中、三隅がそれまで認めていた殺人の事実を突然全面否認し始めた時、裁判官と検察官、弁護人の3者で裁判を始めからやり直すべきか、という話し合いが持たれますが、裁判官が「訴訟経済」という言葉を持ちだして検察、弁護人双方にこのまま公判を維持すべきだと促します。強盗殺人の裁判ですよ?よくて無期懲役、悪くて死刑です。三隅の言い出したことがもし本当なら、無実のひとを死刑にするかもしれないのにもかかわらず、です。これはお話だと思いますが、現実にこんなことがあったら恐ろしいことだと思います。ひとは神の代行者にはなり得ません。深い余韻を残す、いい映画だと思います。